ロシアのコメルサント紙は2022年2月9日カミラ・ワリエワ選手(15歳)のドーピング検査で血管を広げる薬トリメタジジンの陽性反応があったと報じました。
原文より
Сразу несколько источников подтвердили информацию о том, что проблемы с допинг-пробой возникли у одного из участников командного турнира фигуристов, выигранного россиянами.
コメルサント
Речь, предположительно, идет о главной звезде отечественного фигурного катания — 15-летней Камиле Валиевой — и препарате триметазидин, на котором на прошлой зимней Олимпиаде — в 2018 году в Пхёнчхане — попалась бобслеистка Надежда Сергеева.
google和訳:
いくつかの情報筋は、ロシア人が優勝したチームフィギュアスケートトーナメントの参加者の1人がドーピングテストに問題を抱えているという情報をすぐに確認しました。これはおそらく、国内のフィギュアスケートの主役である15歳のカミラ・バリエバと、2018年に平昌で開催された昨年の冬季オリンピックでナデジダ・セルゲエワが捕まえられた薬物トリメタジジンに関するものです。
ドーピングとは競技力を高める薬物を摂取すること。意図せず不注意で摂取しても制裁の対象になります。
15歳のカミラ・ワリエワ選手はこのまま選手生命を絶たれてしまうのか、大変気になるところです。
ドーピング検査の方法
JADA 公益財団 日本アンチ・ドーピング機構によると,検査の方法は
競技会でのドーピング検査、競技会以外でのドーピング検査(自宅やトレーニング場所など)を行っています。アスリートから尿と血液(両方もしくはどちらか一方)の検体を採取します。
JADA
オリンピックに出場している選手は、いつどこで不意を突かれてドーピング検査をされるかわからない状態でしす。ドーピングは極めてリスクの高いことです。
ロシアドーピング2015年の悪夢の再来か?
2015年、ロシアの国ぐるみのドーピングが発覚して、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでロシアの選手出場が禁止されました。
今回のオリンピックも、ロシアの国としての参加は認められず、ロシアの選手はロシアオリンピック委員会の代表として出場していることは周知の事です。
その中での今回のドーピング検査陽性は相当な衝撃です。故意に行うとは考え難く、ましてや15歳と言う年齢、ドーピングを自らの意思で選択するとは思えません。
回りの関係者の調査結果が待たれます。
国ぐるみでないことを願いたいです。
カミラ・ワリエワ選手のドーピングが本当なら選手生命は?
スポーツ仲裁裁判所の裁定で、ひとまず北京オリンピックの出場を認められ、選手生命は維持できることになりました。
しかし、IOCの追求はこれからと言えます。北京オリンピック後の競技に出場できるかは、予断を許さない状況です。
スポーツ仲裁裁判所が出場を認めた理由は次の3点です。
・16歳未満であること
・北京オリンピックでドーピングは陰性であったこと
・出場停止するとカミラ・ワリエワ選手に取り返しのつかない害を及ぼすこと
カミラ・ワリエワ選手は最悪でも2年出場できない可能性が有りましたが、回避できることになりました。
世界アンチ・ドーピング規定に16歳未満の選手は要保護者の対象と有ります。カミラ・ワリエワ選手は15歳ですから要保護者です。
要保護者:
世界アンチ・ドーピングの規定
次のいずれかに当てはまる者
・16歳に達していない者
・18歳に達しておらず、かつRTPに含まれたことがなく、オープンカテゴリー*で国際競技大会で競技をしたことがない者
・年齢に関係なく、アスリートが国籍を有する国の法律において、法的能力が十分でないと認定されている者
要保護者は次の規定のように柔軟な対応となります。
要保護者とレクリエーション競技者には、柔軟な対応。
世界アンチ・ドーピングの規定
過誤の度合いにより、最長で2年間の制裁へ
規定から、今回の裁定は最大限の柔軟な対応と考えられます。
もし要保護者でない選手であれば、ドーピングが発覚すると選手生命はかなり危うくなります。
発覚後どのようになるか調べました。
同じロシアのフィギュア選手エカテリーナ・ボブロワは2016年欧州選手権のドーピング検査でメルドニウムの陽性となりました。国際スケート連盟より出場停止処分を受けて、世界選手権を欠場しました。
その後、世界アンチ・ドーピング機関より、ボブロワに過失がないとされて、出場停止処分が解除されました。
要保護者でない選手であれば、ドーピングが故意でなくとも過失であれば、今後開催される数々の大会の出場資格を失う可能性が有ります。
カミラ・ワリエワ選手のドーピング疑惑の行方
今回のドーピングの行方はわからない可能性があります。
なぜなら、次の規定があります。
10 要保護者の権利
世界規定において要保護者として定義されるアスリートは、自己の過誤の評価を含め、自己の年齢または行為能力が不十分であることを理由として更なる保護を受けるものとし、強制的な一般開示は要請されないものとする。
(世界規定第14.3.7)
要約すると、要保護者の場合、過誤の内容は、強制的に一般へ開示されないと書かれています。
2022年2月17日 報道機関が入手したカミラワリエワ選手ドーピングに関する情報です。
・トリメタジジンが検出された理由を、母親が言ってます。「カミラ・ワリエワ選手が心臓病の祖父のコップを使用したからではないか。」
TBS The Timeより
これは、ドーピングが検出された選手が良く使う理由「意図せず、水に溶かれていた禁止薬物飲んでしまった。」に似ている。
・検出された薬物はトリメタジジン以外に禁止されていない薬物のハイポキセン,L-カルニチンも検出された。3つ合わせると、効果的に持久力を向上できると言われている。
TBS
・ハイポキセンとL-カルニチンはあらかじめ使用することが申告されていた。
二つ疑問があります。
・報道の写真からは、トリメタジジンは錠剤で販売されています。錠剤が水に溶けるだろうか? 水に溶けてなければ、誤って飲むことはないと思うのです。
・ハイポキセン,L-カルニチンは禁止薬物ではないが、トリメタジジンと組み合わせて使うと効果的であり、偶然の組み合わせと考えにくいとの声があります。
疑問がある限り、IOCの追求は続くことでしょう。
優勝候補であったが、ドーピング渦中で競技に参加して4位となったカミラ・ワリエワ選手。きっと実力が出せなかったであろうと思います。
これからも共に乗り越えて、応援して行くであろう母親について、気になりましたら次の記事をご覧ください。

まとめ
ドーピング検査から今までの状況をまとめます。
・2021年12月25日 ロシア選手権で検体を採取しました。 このときカミラ・ワリエワ選手は優勝しています。
・2022年12月7日 ロシアオリンピック委員会(ROC) 北京オリンピックで団体金獲得。
・2022年2月8日 ロシア反ドーピング機関が2021年12月25日に採取した検体が陽性と発表、カミラ・ワリエワ選手の出場資格停止処分としました。
・2022年2月9日 カミラ・ワリエワ選手側からロシア反ドーピング機関に不服を申し立てて、処分解除となりました。
・2022年2月11日 IOCが処分解除を不服としてスポーツ仲裁裁判所に提訴しました。
・2022年2月14日 スポーツ仲裁裁判所がカミラ・ワリエワ選手の出場を認めました。
・2022年2月17日 北京オリンピック フィギュア女子 カミラ・ワリエワ選手4位。
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