走行距離課税とはその名の通り、車で長く走れば走るほど、その分税金を多く収めます。
「そんなことなんでするの?」、「そんなことしたら電動車が普及しないよ!」とか思う私とあなたの為に、
提案者は誰? なぜ走行すると課税するの? 課税対象は? どうやって課税するの? 海外では走行距離課税はある?
など数々湧く疑問について調べました
走行距離課税の提案者は?
走行距離課税は鈴木俊一財務相や税制調査会の土居委員が再提案しました。
10月20日に鈴木俊一財務相が「走行距離課税は一つの考え方だと思っている」と野党の質問に答えました。
これに対して、国民から不満が噴出しました。
ツイッターの不満の声をいくつか拾いました。
「EV普及を叫ぶ一方で「ブレーキ」を掛ける「走行距離課税」検討の動きは場当たり的すぎでは?」
「政府は増税や新税より経済成長で税収増を目指せ!」
「景気の循環を考えてない」
「財務官僚のいいなり」
「走ったら罰金→走行距離課税」
「なんでもかんでも税金。車持つ人ますます減りますね…]
「運送会社が困って送料高くなって消費者困って物買わなくなる」
数々の憤慨は良くわかります。
物価が上がり続け、生活が益々苦しくなりそうな今、安易に税金を増やして欲しくないですから、国民は声を上げるしかありません。
それでも、不満ではない声も上がっていました。
「最近電気自動車が増えてきてガソリン税が思うように取れなくなってきたんで
新しく作ろうとしとるらしいんです」
「ガソリンの価格の大半がガソリン税ということですので、既にそれが、走行距離に応じた税金となっているはずです。」
走行距離課税についてもう少し理解しましょうとの声もありました。
そう言えば、ガソリンは走った分買い足す訳で、一緒に収める税金は走行距離に応じて払ってるに等しいですよね。
さらに、10月26日税制調査会の土居丈朗(どい・たけろう)委員も走行距離課税を議論するよう提案しました。
電動車はますます普及するが、現行の税制のままだと財源が不足する。
税制調査会 第20回総会 土居委員
車は電動車に変わったけど、道路はボロボロということになりかねない。
電動車であってもそろそろ走行距離に応じて課税するなど、走行課税について議論することを提案します。
土居委員は慶應義塾大学経済学部教授で、経済学者です。
税制調査会の議論を知った三原議員も、私見で「これは国民の理解を得られないだろう、、、!」と発しました。
ところで、走行距離課税は4年ほど前から検討されていた案だったのです。
発案者はわかりませんでしたが、
2018年ごろから与党が自動車税を走行距離課税に変更する法改正案を検討し始めました。
2018年時点で既に道路整備に掛かる費用が自動車税関連の歳入を上回っていました。それが検討開始の要因だったのでしょう。
走行距離課税が必要との考えは何年も前にあったので、決して安易に提案しているのではなさそうです。
ところが検討結果は得ずに、何故かうやむや状態になっていました。
それを道路がボロボロになる前に、本格的に議論して行く時期だと、鈴木俊一財務相や土居委員が再提案したのです。
走行距離課税でなぜ走行すると課税するの?
走行距離課税は走行距離に応じて税金を集めて、道路を作ったり車が走行して傷めた道路や橋を修理するための道路財源とすることを主な目的とします。
車が走れば、道路や橋は少し傷みます。これに老朽化も加わって、
沢山車が走るとやがて崩れて、使えなくなりかねません。
必ず維持管理して行かなければならないものですよね。
なので、車を走らせた分税金を集めて、道路整備をしているのです。
ガソリン車は走った分ガソリンを買い足して、その時税金を納めているのでそれで良かったのですが、
電動車は今も走った分の税金を納めてません。
電動車は一般にガソリン車より2〜3割は重いと言われてます。
道路の傷め具合はガソリン車より大きいので、
どうしても電動車からも走った分の税金を納めてもらわないと、不公平になることでしょう。
なので、電動車に走行すると課税する走行距離課税の議論が始まろうとしているのです。
走行距離課税の対象は?
走行距離課税の対象は電動車やハイブリッド車で、ガソリン車は対象外となるかもしれませんし、
あるいは全車種対象となることも考えられます。
電動車やハイブリッド車のみ対象と考える理由:
税制調査会で「電動車であってもそろそろ走行距離に応じて課税するとか、具体的な走行課税について議論することを提案します。」と意見が出されているからです。
ガソリン車並みに走行距離に応じた課税がなされてない電動車やハイブリッド車を対象として、走行距離課税を議論して行こうと言ってる訳ですから。
電動車は一般にガソリン車より2〜3割は重いと言われてます。それだけガソリン車より道路を傷めながら走っているのですから、走行距離に応じて税金を納めるのは理にかなってます。
ガソリン車は対象外と考える理由:
ガソリン車は今まで通りのガソリン税の方が簡単に徴収できるからです。
普通にガソリンスタンドで納税できますから。
全車種が対象と考えられる理由:
公平な税負担にするために、同じ考えに基づく税額の計算方法を決めて課税するとなると、全車種が対象となる可能性もありそうです。
例えば、走行距離と重量と排ガス量に応じて、道路への負荷、環境への負荷を判定して税額を計算するとかにしたら、全車種に適用できそうです。
走行距離課税が全車種対象になったら、売れ行きに偏りはなくなりそうですね。
もし、ガソリン車も走行距離課税の対象となった場合は、ガソリン税は不要になると予想します。
税の二重取りになっていまいますからね。
いずれも実際のところは、走行距離課税の議論が再開されたばかりで、これから詳細が決定されます。
走行距離課税はどうやって課税するの?
走行距離課税の課税方法は、海外を参考にすると、
自己申告か機器を使って走行距離を自動測定して課税額を決める方法があります。
重量やCO2排出量を加味することも有ります。
車検時に走行距離と重量に応じて課税するのでは、とも言われてます。
この場合、2年毎の車検で走行距離分をまとめて支払うのは非常に酷だと思うので、分割納税も選択できることを期待したいですね。
走行距離課税は海外はある?
海外でも電動車の普及で、ガソリン税を頼りにしていた道路財源を走行距離課税に変えて行く動きがあります。
アメリカのカリフォルニア州は車体の重量と走行距離に応じて課税しています。
自己申告かGPS機器による自動申告を選択できます。
アメリカのオレゴン州は1マイル(約1.6km)で1.9セント(約2.8円)の税金を払います。
ドイツはアウトバーンと連邦国道を走行する12トン以上のトラックに限り、搭載器が算出した走行距離とCO2排出量に応じて課税します。
まとめ
車で長く走れば走るほど、その分税金を多く収める走行距離課税の議論が再開されました。
私も含め、驚き、憤慨の声が聞こえました。
しかし、湧き上がる疑問を調べてみたところ、憤慨するほどでもないと、
むしろ、今のままのガソリン税ではまずいかも、と思いました。
走行距離課税はこれから大いに議論されて行くでしょう。
課税対象、課税額の計算方法、課税タイミングなどどうなるか見守りたいですね。
そうして、まずいと思う事が有れば、またSNSなどで国民の声を発して行きたいと感じました。
せっかく電動車が普及し始めているので、それを腰折れさせないように議論を進めてもらいたいですね。
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